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平谷美樹の歌詠川通信

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『呪海』 光文社カッパノベルス&光文社文庫

『呪海』 光文社カッパノベルス&光文社文庫_b0150390_19352346.jpg

画像はカッパノベルス版。

伝奇ホラーに分類されるでしょうか。
日本列島には大いなる呪いが仕掛けられていた。
その呪いを鎮めるための大祭が密かに行われようとしていたが――。

聖天神社怪異縁起というシリーズタイトルがついています。
日本古来の呪術と、渡来人たちによって持ち込まれた
呪術の戦いが描かれるシリーズの第一巻です。
本物の真言などが多数出てきます。
ただ、ぼくの作品によくあるように、創作の呪術もたくさん出てきます。
そして、日本列島に仕掛けられた大きな呪いは、
みなさんもよくご存じの●●が関わっています。
その謎解きをしながら読むのも楽しみ方のひとつ。
ヒントは「小学校の地理」(笑)
たしかぼくたちの年代は小学校で習いましたが、今はどうなんだろう……。

基本的に、この小説も例によって、難しいことは考えず、
文章をストレートに頭で映像化していただければ、
映画を観るように楽しんでいただけます。

かなり怖いです。
濃霧の海と、そこから上がってくる人形の群れ――。
読んでいる最中に異様な物音を体験したという人を2人知っています。
ただ、もれなく異音がついてくるわけではありません(笑)

ノベルス版で出ましたが、今は文庫になっています。
なんだか在庫が少なそうなので、お買い求めはお早めに(笑)

次回は聖天神社怪異縁起の第2巻

『壺空』 光文社カッパノベルス刊

でいきます。
こちらはもっと入手困難。
文庫化してくれるといいんだけどなぁ。
# by y-hiraya | 2009-01-12 23:24 | 作品の召し上がり方

歌詠川物語Ⅱ 釣り人社刊

歌詠川物語Ⅱ 釣り人社刊_b0150390_19325191.jpg

『FlyFisher』という雑誌に連載していた
『歌詠川物語Ⅱ』にラスト部分を書き加えて単行本化したものです。
この小説も、予定調和を目指しました。
環境と人間という大テーマは解決のつけようがないのだけれど、
とにかく前向きな歌詠川の人々が描かれます。
ただ“ブームとしての環境問題”には否を唱えています。
「環境に優しい」という言葉の愚かしさや、
ブームとして行われる環境対策は、
我々がもういちどきちんと学ばなければならないことだと考えます。

今回は“ある動物”が大きなキーワードとして登場します。
実は、構想している『歌詠川物語Ⅲ』も
動物がキーワードで登場するのですが……。
今のところ、『Ⅲ』の予定は立っていません。
『Ⅱ』がもっと売れてくれないと(笑)
雑誌で既読の方も、ラストの大幅加筆部分は
充分に楽しんで頂けると思いますので、
どうぞお買いあげを(笑)

SF以外の小説という繋がりで、次は

 『呪海』 光文社カッパノベルズ刊

でいきましょうか。
ホラーですが、ちょっとSF的な設定もあります。
# by y-hiraya | 2009-01-12 00:55 | 作品の召し上がり方

「歌詠川物語」 釣り人社刊

「歌詠川物語」 釣り人社刊_b0150390_19283785.jpg

フライフィッシング小説の連作短編集です。
フライフィッシングとは、毛鉤を使う釣りです。
主に川や湖など淡水魚を狙うものですが、
最近では海のフライも人気のようです。
釣りに興味の無い方でもブラッド・ピットの出た
「リバーランズスルーイット」という映画はご存じなのでは?
あのフライ・シーンの美しさは絶品であります。
フライをする人間は結構、ツッコミを入れたくなるシーンもありますが(笑)

「歌詠川」は架空の川です。
しかし、モデルは存在します。
「歌詠川Ⅱ」を連載していた時に、釣り人社に、
『歌詠川はどこにあるんですか?』
という問い合わせがあったそうです。
それで慌てて次の号から架空の川であるという但し書きが添えられました。

「歌詠川」物語は、フライをなさらない方もけっこう読んでいらっしゃるようで、
『フライを知らなくても楽しく読めた』という声も聞こえています。
泣ける話がお好きな方は是非とも読んでいただきたい(笑)
ぼくの小説にしては泣かせどころ満載で、最後の話などは、
ぼく自身、書きながら、そして読み返しながら泣きました。ホント。

本書には悪人は出てきません。ムカツク奴は出てきますが、ほんとはいい奴なんです。
実際の川釣りは環境問題を含め暗澹たる思いをする方が多く、きわめて世知辛い。
せめて小説の中には楽園を描きたい。
そういう思いで執筆しました。

そうそう。
まだ本になっていませんが、「虹鱒亭奇譚」という連載もしていました。
無茶苦茶怖い川の怪談を連載していたんですが、
「怖すぎる」ということで人気が出なかった模様(笑)
本にしたいんですけどねぇ。釣り関係の小説はあまり売れないので本にしてくれる所はないだろうなぁ。
ムッチャ怖いのでもったいないんですが。

次回はフライフィッシング小説つながりで

「歌詠川物語Ⅱ」 釣り人社刊

にします。
# by y-hiraya | 2009-01-08 23:12 | 作品の召し上がり方