平谷美樹の歌詠川通信

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「黄金の門」 角川春樹事務所刊

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「エリ・エリ」をシリーズと考えれば、年代的に第一巻となるのが本書。
ごく近未来(数年後程度?)のエルサレムが舞台。
ご存じの通り、エルサレムはキリスト教、ユダヤ教、
イスラム教の聖地となっています。
聖地である旧市街は、地図を見ても、
それぞれの宗教を信仰する人たちが固まって暮らしていて、
キリスト教区であるとかイスラム教区であるとかに分かれて住んでいます。
何に関しても無責任で無気力な日本青年「ノブサン」がそんなエルサレムを訪れ、
三つの宗教の思惑に巻き込まれていく――という物語です。
救世主と思われる謎の少年との交流や、
聖なる遺物の争奪戦などを描きながら、
『地上の神とは何か』というテーマで描いています。

ぼくは曹洞宗の寺の檀家ですが、宗教的にはニュートラルです。
キリスト教の人々が目の敵にするイスラム教についても「あり」だと思っています。
生活環境によって人の価値観は異なります。
砂漠の民が「目には目」という思想を持つのは当然のなりゆきと言えましょう。
テロがいけないというのならば、過去を振り返れば、一番の虐殺者はキリスト教徒たちです。
それは昔のことだからと棚に上げてイスラムばかり非難することはできないと思うんです。
今でも悪い意味での唯我独尊(これ、仏教の擁護ですけど)的な考え方を発揮します。
神は自分の姿に似せて人を創った。
だから、人類は霊長類の頂点に位置し、他の動物や自然は自分たちが守らなければならない――。
そのような押しつけがましいやり口が、異教徒の国で軋轢を生んでいるのです。
特に東の海の向こうの大陸の人々ね。
まぁ、それも「あり」だとは思います。
生活環境によって人の価値観は変わりますから。

「ノブサン」はどうしようもない日本人のカリカチュアとして描きました。
近親憎悪で、感情移入は難しいかもしれません(笑)

さて、地上に神は存在するのでしょうか?

次は、ショートショート集を取り上げてみます。

「時間よ止まれ」 角川春樹事務所 ハルキ文庫刊

です。
# by y-hiraya | 2009-01-31 19:46 | 作品の召し上がり方 | Comments(0)

「レスレクティオ」 角川春樹事務所刊

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「エリ・エリ」の続編ですが、単独でも読めるように書いています。
舞台は、この宇宙とはまったく異なる宇宙。
しかし、「エリ・エリ」の登場人物たちが出てきます。
SFを読み慣れない方は、「異世界に転生した」ととらえて読んでいただければ。

レスレクティオとはラテン語で「復活」という意味です。
執筆中はずっと生と死を考え続けました。
16年間一緒に暮らした猫の死を
受け止めるために書いたといっても過言ではないかも……。

死とは永遠の別れではない。
必ず、大いなる回帰の後、もう一度出会うのだ。
そういうことをスピリチュアルな表現を用いずに書きました。

ぼくは宗教的には中立です。
曹洞宗の寺の檀家ではありますが(笑)
百物語シリーズも書いていますが、心霊現象に対しても、ニュートラルな意識を忘れないようにしています。
「エリ・エリ」の出版後には、当日勤めていた学校に、
『先生の疑問にお答えできる本がありますので、無料でお送りします』
という宗教関係の方からの電話がありました(笑)
何かを強く信じてしまえば、他の物を排除してしまう精神状態になります。
それを避けるために、ぼくは常にニュートラルでありたいと思っているのです。
でも……。見えるモノはしかたがないんですよねぇ(笑)

「レスレクティオ」の執筆時にはずっとスラヴァの「アヴェ・マリア」や、グレゴリオ聖歌をかけていました。
読書時のBGMにもピッタリだと思います。

「エリ・エリ」「レスレクティオ」で“神の本質”を追求し、
最終章でありプロローグでもある「黄金の門」では地上の神を追求しました。

ということで、次回は

「黄金の門」 角川春樹事務所刊

でいきます。
舞台はほんの少し未来のエルサレム。
読んだ方から「取材に行ったのかと思った」と言っていただけました。
エルサレムには行ったこともないのですが、かなりリアルに描けていると、
かの地をよく知る方にも太鼓判をいただいたので、とても嬉しかったことを覚えています。
# by y-hiraya | 2009-01-23 17:30 | 作品紹介 | Comments(0)

今年の干支(笑)

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沙棗の宣伝も兼ねて
今年の年賀状は

若丸

に、しました。
このレベルで挿し絵も描きたいのだけれど、
むちゃくちゃ時間がかかるので妥協しています(涙)。
# by y-hiraya | 2009-01-18 19:47 | ギャラリー | Comments(4)