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平谷美樹の歌詠川通信

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作家生活15周年

2000年の6月30日、「エンデュミオン エンデュミオン」でわたしは作家としてデビューを果たしました。
それから丸15年がたとうとしています。
思い返せば、作家としてよく生き残ったなぁと思います。
大病もしましたから、本当の意味でも「よく生き残ったなぁ」ですけれど。
SF作家としてデビューしましたが、今はSFは書いていません。理由は簡単。オファーがないからです。書きたい物が色々ありますから、それでも楽しく執筆を続けています。
なによりSFのオファーがないということは、わたしのSFは売れないということでありましょう(笑)。
見栄っ張りで意地っ張りなので、ブログには泣き言を書きませんが、髪を掻きむしるほどの思いをしたことも二度や三度ではありません(笑)。
何があっても泰然自若。平然とした顔で大量の原稿を書きまくる――。
そう思われたいのですよ(笑)。

転機になったのは河北新報で連載した「沙棗――義経になった男」でした。
実を言うとあの作品は、岩手日報社の「北の文学」へ寄稿した、「北へ」という短編が元になったものでした。その頃だったでしょうか、「異形コレクション 江戸迷宮」に載った「萩供養」を書いたのも。あれは発表先も無いままに書き綴っていた「ゴミソの鐵次調伏覚書」の中の一本でした。
その頃から、歴史物や時代物が書きたいという気分が高まっていたんです。けして歴史・時代小説が流行っているから日和見をしたのではありません(笑)。
作家デビューと同時期に知り合った友に高橋政彦という人物がいます。
わたしが歴史に興味を持ったのは彼のおかげであります。
まだ安倍氏と平泉藤原氏の区別もつかなかったわたしに、岩手の歴史の面白さを吹き込んだのは高橋氏でした。彼の企画で岩手の歴史に関わるコラムを幾つか手がけました。
それが歴史の面白さに開眼するきっかけだったのです。

ここ数年、歴史・時代小説ばかりを書いていますが、発表先がないままに「ゴミソの鐵次」を書いたのと同様に、SFも書いていました。一本は脱稿し、もう一本は書きかけですが、とりあえず2本のSFに手をつけていたんです。
完成しているお話は、「銀の弦」に出ていた科学警察研究所第五部の待田部長が主役のSFミステリー。書きかけのものは、いちおうパニック物に分類されるのかな――。
いずれ今のままでは「幻の傑作」となることでしょう(笑)。

すでに、出版されたわたしの歴史・時代小説は、SF作品の冊数を超えてしまいました。
歴史・時代作家として認知され始めてもいます――。そういうと、知人たちは、
「ほぼ毎月本が出ているのに」
と、首を振ります。わたしが謙遜していると思うようです。
出版界はそう甘いものではなく(笑)、ほぼ毎月本を出しても、教師時代の年収には追いつかないのですよ。毎月のように本が書店に並ぶ人は多くいますが、初版発行部数や重版のかかり具合で、年収は雲泥の差となるのです。
せっかく始めたシリーズも、売れなければ終了させられる。安穏と原稿だけ書いていればいいというものではありません。
と、景気の悪い話はこれくらいにしておきましょう(笑)。
それでも今のところ、おつき合いのある出版社も毎年増えていますから、なんとかこれから先も生き延びて行きそうです。

16年目の平谷美樹はどうなるか――。
おそらく、歴史・時代小説作家として邁進するのではないかと思います(笑)。
面白い現代ホラーのネタもあるので、それも書きたいのですが、なにより書きたい歴史・時代物のネタがたくさんあるのです。
どんどん作品を書いていきたいのですが、昨年「月産1000枚」という月が一度あり、さすがに体調がおかしくなったので、ほどほどにしようとは思います。
小説作品は50冊を越えました。実録怪談物も入れると60冊を越えています。
1年で10冊書くとすれば、あと4、5年で100冊。なんとかそこまでは生き残りたいですね。ちょうど5年後は作家生活20周年(笑)。わたしは還暦を迎えています。
なんだか、今までで一番長い5年になりそうだな。 

〈文・平谷美樹〉
by y-hiraya | 2015-06-29 21:33 | 雑記