第1回小松左京賞受賞作です。
思い出深いです。
最終選考に残ったと電話連絡があり、
『選考は午後四時頃には終わる予定です。すぐに当落を連絡しますので、
電話のそばにいてください』
と、言われました。
最終選考当日、ドキドキしながら待っていると、四時少し前に電話が鳴りました。
早く終わったんだ――。
そう思って受話器を取ると、ファックスを受信していることを示す『ピー』という音。
で、受信ボタンを押すと――。
『第2回小松左京賞募集要項』という文字が出て来ます。
ああ……。ダメだったんだと落胆するぼく。
最後までプリントされた紙を見てみると、最後の方に走り書きの文字。
『選考は長引いています。まだ結果は出ていません。ドキドキです』
膝から力が抜けました(笑)
それから小一時間ほどたって、受賞のお知らせが来ました。
「エリ・エリ」は神を探す3部作の1冊です。
時系列で言えば、真ん中のエピソード。
もちろん、単独でも面白く読んでいただけると思います。
文章は現在よりもくどいです(笑)
ハマる方はけっこう深くハマってくださるようで、感動したという感想をいただき嬉しかった想い出があります。
もちろん、新人賞の受賞作ですから、厳しい指摘もありました。
ずいぶん勉強させていただきました。
「エリ・エリ」の続編は「レスレクティオ」、「黄金の門」があります。
時系列通りに並べると「黄金の門」→「エリ・エリ」→「レスレクティオ」です。
タイムスケールは数百億年。数千億年でしょうか――。
3部作を貫くのは、
「神とはなにか?」
「宗教とはなにか?」
「神は存在するのか?」
「存在するとすれば、なぜこの世界には悲しみばかりがあるのか?」
「神とは何者か?」
です。
抹香臭いテーマですが、アクションたっぷりで、宗教とは異なる場所に着地しています。
ネタバレを書きますと、
「すべては己に還る」
でしょうか。
次回は続編
「レスレクティオ」 角川春樹事務所刊
にします。